<イヌリンとは By ウィキペディアより 引用掲載>
イヌリン (inulin) は自然界においてさまざまな植物によって作られる多糖類の一群である。炭水化物の一種、果糖の重合体(フルクタン)の一種であり、同類の植物による貯蔵栄養素であるデンプンと異なりヒトの消化器では分解不能で大腸の腸内細菌叢によってはじめて代謝されるため、
栄養成分表示では糖質ではなく食物繊維として扱われる。
キク科の植物は肥大した根や地下茎、それに由来する塊茎などに栄養源を貯蔵するための手段として利用している。イヌリンを合成・貯蔵する植物は、多くの場合デンプンのような他の物質を貯蔵することはない。
イヌリンの名称は、キク科オグルマ属の植物 (Inula) から抽出されたことに由来する。
イヌリンは栄養上の性質に優れることから、食物製品に使用されることが近年増えてきている。
薄味のものから甘めのものまで広範に使用されており、砂糖や脂肪、小麦粉の代わりに用いられることもある。
これは次の点において有利であるとされる。
すなわち、イヌリンは砂糖や他の炭水化物と比較して3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含まず、脂肪と比べて6分の1から9分の1程度のエネルギーしか含まない。
さらに、カルシウムの吸収を促進し、おそらくはマグネシウムの吸収も促進する。
また、腸におけるバクテリアの活動を増進させる。
栄養学的には水溶性食物繊維の一種として扱われ、多量に摂取すると(特に、過敏な人あるいは不慣れな人にとっては)腹部膨満を来す可能性があることに注意が必要とされる。
血糖に直接的に作用することはないが、食後の血糖濃度上昇を抑制することに加え、腸内細菌による代謝産物がインスリン感受性を向上させることにより、糖尿病患者の血糖値を適切な水準に調節することが報告されている。
そのため、
血糖値異常に起因する疾病に対しての有効な食事療法の手段として期待される。